「エロスの源泉 ルンバ」の続編です。長文ですので、お時間のある時にどうぞ。
では早速、
|人はダンスを始めると普段と違った風に装う喜びに目覚める。
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|たとえば、蝶の形で胸を覆うトップが店頭に吊してあるような、モンマ
|ントルの丘周辺にあるキンキラキンのブティックの前で立ち止まること
|になる。あれを着て街なかを歩いたら職業を疑われることまちがいなし。
|それはやっぱり困るが、もう少し控えめでダンスに使えそうなものもあ
|りそうだ。私はしばらく店のまわりをうろうろして迷ったものだ。
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|意を決してドアを押すと、キュートでセクシーでしかも動きやすそうな
|ものがわんさかあって目を見張る。ダンスをしていなかったら、こうい
|う店に足を踏み入れることは永遠になかったことだろう。
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|もともとフランスのいいところは、年齢に関係のないおしゃれができる
|ことなのだが、分野がダンスとなれば、さらに年齢などなきに等しいも
|のとなる。思いきって、気に入ったものをひとつだけ購入してみる。こ
|れが第一歩である。いそいそと家に帰り、鏡に自分の姿を映してみる。
|(中略)
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|自分で選んだ服のイメージにも驚くが、同時に、自分がなりたかった女
|性のイメージというのが、実はたったひとつではなかったということに
|も気づき、改めて驚く。清楚でエレガントなオードリー・ヘップバーン
|が好みだが、ジャンヌ・モローの凄みのきいたセクシーさにも惹きつけ
|られる。アジア女性の透明感はどこかで持っていたいけど、アフリカ女
|性の豊満な肉体のパワーにも憧れる。なんともがめつい限りだ。現実の
|自分を振り返ると、情けないかな、どのイメージからもほど遠い。それ
|でもダンスを通してなら存分に遊べる。そう気づいてわくわくしてくる。
|(中略)
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|今度のソワレ(ダンスパーティ)にはどんな格好をしよう、と何ヶ月
|も前から想いをめぐらせる。それだけで毎日の生活がときめいてくる。
|一年間、汗水を流して働き、カーニバルで一挙に非日常を生き、凝縮
|されたエネルギーを爆発させるブラジルの人たちの心情がわかるよう
|な気がする。非日常のない生活など、死んでいるも同然ではないか。
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|ダンスはこうしていのちを活性化する。
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|(浅野素女 著「踊りませんか?」第5章 エロスの源泉 ルンバ から引用)
以前私のブログでも触れましたが、ダンスの魅力の一つに、ドレスを着る楽しみというものがあります。ダンス愛好家の方のなかには、ダンスを踊ることよりも、ドレスを着ることが楽しみで続けておられるのではと思われる方もいます。
実際に以前、パーティダンス歴が長くて、ある程度踊れる方から、「ダンスを一緒に踊らなくてもいいので、ドレスを着て先生と組んでいるところの写真を撮らせてもらえませんか?」と頼まれたことがありましたσ(^_^;)。
で、私は、「えっと、私の仕事は一応レッスンをすることですので…」と答えましたら、「それじゃレッスンを受けますので、先で先生が私が上手になったと思ったら言って下さい。そしたら、ドレスを着てミックスコンペ(生徒さんと先生とで組んで踊るダンスの競技会)に出ます。その時写真をお願いします」ということになり、レッスンを受けられることになりました。
その方はその後熱心にレッスンを受けられて、2年後くらいにミックスコンペに出場され、優秀賞を取られ、その楯と一緒にめでたくツーショットの写真ができあがりました。
入口はドレスでも何でもいいのです。ダンスにはそんな魅力があります。
長くなりましたので、今夜はこの辺で。
PS:
「エロスの源泉 ルンバ」編は、もう一回続きます。