今週から、サンデー特集として、「踊りませんか?」の「夫と踊る」という章を3回に分けてご紹介させて頂きます。これは先週まで連載した「競技ダンスのこと」の続編でもあります。
ご夫婦でダンスを楽しまれておられる方も沢山おられますし、またご夫婦で競技ダンスをされているダンス愛好家の方も沢山おられます。そうでない方達にも、興味ある記事だと思います。
今日はその第一回目です。
|夫と踊る
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|パートナーが夫の場合、相克はいっそう深まる。家に帰ってもいっしょ
|なのである。喧嘩したからといって、次の練習まで顔を合わせないです
|む、というわけにはいかない。夫婦でやっているから家でも練習できて
|いいわねえ、なんてとんでもない。ダンスをしているがゆえに、私たち
|は離婚の危機(!)を何度も体験した。家ではダンスの話題を避ける、
|というところまでゆき着いた。こんな思いをするなら、ダンスなんてや
|めた方がいいのかもしれない、と何度も思った。
|
|だが、視点を変えてみると、夫婦だったからうまく切り抜けてこられた
|のかもしれない。ダンスのパートナーは替えられるが、そうそう人生の
|パートナーを降りるわけにはいかない。そう思うと、衝突やすれ違いの
|建て直しはスピーディにならざるを得ない。ずるずると諍いを引きずっ
|て生活していたら、とてもやってはいられない。相手をわかろう、はた
|また誤解された態度をなんとかわかってもらおうと、ゴチャゴチャ弁明
|にエネルギーを費やすより、さっさと気持ちにケリをつけて、「次!」
|とページをめくってしまう。強引にそうしないと、引きつった顔で次回
|もダンスを踊ることになる。これではもう悲劇どころか喜劇である。
|
|(浅野素女 著「踊りませんか?」第3章 p.78-79から引用)
以前、このブログで、競技ダンスのパートナーを見つけるのは、結婚相手を見つけることより難しいと言われる、というお話をしたことがありますが、その理由の一つが今日の引用箇所に書かれています。
競技ダンスをやろうと思うくらいですから、お互いにダンスが大好きで、また競技ダンスに挑戦しようと思うくらいですから、お互いに負けず嫌いでチャレンジ精神旺盛な性格なのでしょう。
そこに持ってきて、競技会に出てみたものの、なかなか結果が出ない。その結果、お互いに自分はちゃんとやっているのに、結果が良くないのはパートナーのせいでは…となり、いつしかギクシャクした間柄になって、ではパートナーを解消しましょう。となってしまう。
私は競技ダンスは、競技ダンスそのものの難しさよりも、パートナーといかに理解し合って、心を合わせ力を合わせてやっていくかということの方が重要ではないかと思います。
今日はこの辺で。