2011年08月13日

セックスよりいい?(3)

「セックスよりいい?(2)」の記事へのコメントで、「こうした身体的接触があればこそ、上流階級の舞踏会はさまざまな規則で縛られていた」という下りについてご質問がありましたので、勢いにのって、「セックスよりいい?(3)」としてまたご紹介させて頂きます。少々長くなりますので、お時間のある時にどうぞ。

残暑で暑いから、いいですね!(^^)! って、カンケイないか…。

|上流階級のパル
|(注:「パル」とはフランス語で舞踏会の意味。以下舞踏会と訳しておきます)

|19世紀から20世紀初頭にかけて百花繚乱、まばゆいばかりの輝きを
|放つのが、上流階級の舞踏会である。招待客は、当然のことながらあら
|かじめ厳選され、通知を受けた者に限られた。招待するる側もされる側
|も、舞踏会への参加によって自分の社会的地位をアピールすることが目
|的であった。

|舞踏会にはいくつかの決まり事があった。服装にしても、女性のドレス
|は、大きく胸の開いたデコルテでなければならなかった。メイドの手伝
|いがないとひとりでは脱ぎ着に困るような代物である。匂い立つような
|胸元と結い上げた豊かな髪を、さらに宝石や布で飾り立てる。既婚婦人
|であればこそ許された、女性の官能美を全開にした装いであった。金と
|地位に事欠かない男性陣にとっては、舞踏会に集まるほかの女性たちの
|美貌と優雅さを愛で、同時に自分の妻の美貌を周囲に誇示する絶好の機
|会でもあった。(中略)

|女性たちは壁沿いに並んだ椅子に腰をかけ、男性はサロンの側廊や奥の
|小部屋に立った。当時の舞踏会はさまざまな規則に縛られたものであり、
|若い男女が会話を楽しむような自由な雰囲気ではなかった。ましてや女
|性から男性をダンスに誘うなど、とんでもないこと。男性から「踊って
|いただけるでしょうか」と誘われるのをひたすら待つ。(中略)

|すべてがお堅い規則でがんじがらめのようだが、同時に、官能の饗宴が
|繰り広げられる逆説に満ちた場所でもあった。なぜなら、既婚女性は官
|能を煽るような装いに身を包み、堂々とそれを武器に社交を展開したし、
|若者たちはと言えば、近親者や客たちの監視下ではありながら、異性と
|直接からだを触れ合わせるという、ダンス以外の状況では考えられない
|ことを許されていたのだから。

|(浅野素女 著「踊りませんか?」第8章 上流階級のパル から引用)


書きながら気がついたのですが、この雰囲気は現在のダンスの競技会の雰囲気と少し通じるものがあるなぁと思いました。

さぁ、あなたもドレスと燕尾服に身をつつんで、舞踏会デビューされませんか?



  


Posted by きのちゃん at 08:50Comments(4)ダンスの魅力

2011年08月13日

セックスよりいい?(2)

昨日のこの刺激的なタイトルが意外と受けたようなので、今日はその続編です。
まぁ夏ですから、いいですね(^^)/。

私の講釈より、まず昨日の「踊りませんか?」の引用の続きをご紹介します。


|そんなにいいものなら、早く上手になってやろうじゃないか!

|ダンスはステップではなく、互いのからだとからだの接触面が生み出すバランスで
|推進力を得て踊るものだと納得したのは、それからずっと、ずっと後のことである。
|からだとからだのコンタクトが何より大切なのだ。(中略)

|セックスよりいい、などと、その男性はずいぶんあけすけな表現をしたものだが、
|ある意味ではワルツの快楽の素晴らしさと危険性を言い当てた表現かもしれない。

|舞踏会の華やかなりし時代、狭い空間で大勢で踊るとなると、ほかのカップルとの
|衝突を防ぐためにも、男性は女性をかなりしっかりと腕に抱く形となった。こうした
|身体的接触があればこそ、上流階級の舞踏会はさまざまな規則で縛られていた。

|(浅野素女 著「踊りませんか?」第2章 社交ダンスの華 ワルツ から引用)


私はレッスンの時生徒さんに、「昔は社交ダンスはヨーロッパの貴族階級の人達しか踊れなかったんですよ。それが現在は誰でもこうやって踊れるのだから、幸せですよね」と言ったりします。

それはともかく、ダンスの本当の素晴らしさ、魅力というものは、浅野女史も言われているように、「ダンスはステップではなく…」ということが分かり始めてから、少しずつ身体で理解できてくると思います。

今夜はこの辺で。




  


Posted by きのちゃん at 00:05Comments(2)ダンスの魅力