2011年08月28日

リードとフォロー ダンスの究極(3)


サンデー特集 リードとフォロー ダンスの究極その3です。

先週は男性のリードについて述べましたので、今週は主に女性のフォローのポイントについて考えてみたいと思います。

最初に大切なことは、ダンスはもともと先が見えないものだということをしっかりと理解することです。これはどういうことかと言うと、社交ダンスは、舞踏場(ボールルーム)のフロアで沢山のカップルが一緒に踊るものですから、いつも隣のカップルとぶつかる危険性があり、それを出来るだけ避ける必要があります。

そのためには、ダンスをリードする男性は、踊っているまわりはもちろん、フロア全体をいつも視野に入れておいて、ぶつからない工夫をしながらも空いたスペースを効果的に使って、ルーティン(ステップの組み合わせ)を組み立てる必要があります。

男性は一応ダンスのルーティンはある程度決めておいて、それに沿って踊って行きますが、実際はまわりのカップルとの間を縫うように踊らなければいけないので、臨機応変にステップを変化させ、適応させていく必要があります。

今日は女性の立場から、という割には男性のことばかり出てくるようですが、実はこのことを、女性もまずしっかりと理解しておかなければいけません。

何が言いたいのかと言うと、男性はステップを考えてダンスをリードしていきますが、実際はそのステップは常に変化して、男性自身、次のステップが予想できないのです。

ですから、男性のリードにフォローする立場の女性は、男性さえ予想できない次のステップを、自分で予想して踊ってはいけないということです。

これは頭では理解できても、実際はかなり難しいことです。ステップを覚えることから入った女性は、いつも次のステップのことが気になって、そのステップを自分で予想して踊ってしまう習慣がついてしまいがちです。

そうなると、以前書いたように、女性は自分で予想したステップを、男性のリードを無視して自分勝手に踊ることになり、そのためにカップルとしてのバランスが崩れてしまいます。

こういう理由で、先日もお話したように、女性はダンスを踊るときには、自分がまるで液体になったように、そして風のように男性に寄り添って踊らなくてはいけないのです。

来週は、ではこのように液体のようになるにはどうしたら良いのか、そして風のように寄り添うためにはどうしたら良いのか、について考えてみたいと思います。

今日はこの辺で。




  


Posted by きのちゃん at 22:07Comments(6)ダンス上達のコツ

2011年08月27日

ダンスの動画をアップしました

先日の日曜日、福岡の宗像ユリックスという会場で、2011年九州大舞踏会(ミックスコンペ併催)があって、ウチの生徒さんが二人出場されました。

お一人は古希を過ぎたかたですが、ワルツとタンゴとスローの3種目に出場され、ワルツとタンゴで優秀賞をとられました。そのうちワルツをYouTubeにアップしましたので、良かったらご覧下さい。urlは下記の通りです。

 http://www.youtube.com/watch?v=B2H4cjtYQCU

真ん中で紫のドレスの方と踊っているのがきのちゃんです。


  


Posted by きのちゃん at 00:51Comments(4)ダンスの動画

2011年08月25日

「踊りませんか?」序にかえて

このブログは、社交ダンスの魅力を、ひとりでも多くのかたにお伝えしたいという気持ちで開設しましたが、ダンスのプロという私の立場から、ダンスは素晴らしいですよということは、捉えようによっては我田引水的な感じになってしまうのではと思います。

その点、いちアマチュアダンス愛好家である浅野女史の、実際のダンス歴の経験談ということになると、より説得力が増すのではと思います。それもダンスの本場ヨーロッパの、フランスでのお話というのが、またおしゃれでいいですよね。

それで、これからもこの「踊りませんか?」の本の中から、私が共感した箇所を引用して、それに私のコメントを付け加えるという形で、できるだけご紹介させて頂きたいと思います。

今日は、「序にかえて」というまえがきの部分からの引用です。


|ダンスと再会したのは、パリで生活するようになってだいぶ経ってから
|のこと。30歳になっていた。軽い運動のつもりで始め、ダンスのおも
|しろさに開眼し、あっという間にのめり込んだ。何年間か、競技ダンス
|に精を出した時期もある。競技会のストレスやパートナーとの衝突も味
|わった。ダンスに負うものを挙げれば数知れない。夫と出会ったのもダ
|ンスがきっかけ。子育てもダンスとともにあった。ダンスを通じて私は
|人間的にも女性としても成熟していったように思う。もちろん健康もいっ
|しょについてきた。(中略)

|ダンスの魅力も難しさも、言葉で表現するのはなかなか難しい。つかま
|えようとすると、うなぎのようにするりと身をかわして逃げてゆく。だ
|から、ダンスはいつまでも謎のままだ。飽きることがない。私はその謎
|を、ダンスをする人ともしない人とも、ともに分かち合ってみたいと思っ
|てこの本を書き始める。

|(浅野素女 著「踊りませんか?」序にかえて から引用)


この中で特に私が共感したところは、「競技会のストレスやパートナーとの衝突も味わった」と言う部分です。

競技会は見た目が華やかであこがれる人も多いですが、実際は結果が出ますので良いときは良いですが、結果が伴わない時にはどうしても、パートナー同士、自分のことは棚に上げて相手にその原因を求めてしまいがちです。

それで、競技ダンサーのカップルの解消は日常茶飯事です。最近では世界のトッププロ達のカップル解消が多くて、話題になっています。

競技ダンスのパートナーを見つけるのは、結婚相手を見つけるより難しいと、ダンス界では言われているくらいです。

私はお陰様で、私にはもったいないくらいの良きパートナーに恵まれていますので、お互い力を合わせて、より良いダンスを目指してこれからも頑張っていきたいと思っています。

今日はこの辺で。


  


Posted by きのちゃん at 21:56Comments(0)つれづれ日記

2011年08月23日

エロスの源泉 ルンバ(3)

「エロスの源泉 ルンバ」編、その3です。


|ダンスはこうしていのちを活性化する。

|ダンスはありとあらゆる感覚と肉体を総動員して、非日常を「生きる」
|行為だと言える。生きるということは、相手の体温を感じ、汗の匂いを
|吸い込むということだ。実際に自分のからだを通して経験し、「生きら
|れた」ものであるからこそ、ダンスは硬直した日常にスパイスのような
|役割を果たし、しかもそれだけに留まらず、日常をじわじわと内側から
|変えてゆく力を発揮するのだ。

|最初はおそるおそるだが、徐々に、自分を演出することに抵抗がなくな
|ってくる。そう、ダンスはイメージを生きる作業なのだ。男というイメー
|ジ。女というイメージ。一見、型に嵌ったイメージのようだが、時代と
|文化の混淆を経て洗練されたそれぞれのダンスの表現には、男女がこの世
|にある限り消えることのないエロスのエッセンスが詰まっている。それ
|に触発されて、自分の中の何かが動き出す。その先に何があるのだろう
|と戸惑いながらも、追わずにはいられない。まさにルンバは、そんな探
|求の旅にぴったりの踊りである。

|(浅野素女 著「踊りませんか?」第5章 エロスの源泉 ルンバ から引用)


私の感想ですが、それにしても著者の浅野女史は、ダンスを本当に身体で理解して来られたのだなと思います。

ダンスは一人だけのものではなく、すべての人のものですから、100人ダンス愛好家の方がおられたら、100通りのダンス観があって良いと私は思っています。

ダンスには、パーティダンスや、競技会に出て技を競う競技ダンスもありますし、発表会で踊るデモンストレーションダンスもあり、それぞれの人達がそれぞれの目標を持って取り組めば良いのです。

いずれにしても、ダンスは奥が深いですので、最初はパーティでちょっと踊れたら、というくらいの軽い気持ちで始められて、そのウチその奥の深さと魅力に段々と気がついていく、そんな時に、私が少しでもお手伝いできればと願っています。

浅野女史の「踊りませんか?」という本は、何も超過激タイトルものばかりではなく、というより、ほとんどは、いちダンス愛好家から見た普通のダンス探求の旅が書かれています。

私のダンス観と相通じるところが多いので、これからも時々ご紹介させて頂こうと思っています。

というところで、今日はこの辺で。



  


Posted by きのちゃん at 23:27Comments(0)ダンスの魅力

2011年08月21日

リードとフォロー ダンスの究極(3)

サンデー特集「リードとフォロー ダンスの究極」その3です。

さて、ではそんなに大切なリードとフォローは、どうやったら身につくの?ということについて、今日は考えてみたいと思います。

私はこのことについて、いつも生徒さんにこうお話します。

男性の生徒さんには、「パートナーの女性はガラス細工のようなものだと思って下さい。手荒に扱ったら壊れてしまいますよ」

そして女性の生徒さんには、「自分がまるで液体のようになったと思って、リーダーに風のように寄り添って踊って下さい」と。

ちなみに、ダンス用語でカップルを組んだ時の男性をリーダーと呼び、女性をパートナーと呼びます。ただしこれは日本だけで、欧米ではどちらもパートナーと呼ぶようです。

話がそれましたが、人間の動きというものは、それに先駆けて「思い」というものがあり、その思いが行動に表れます。大切なことは、ダンスはまず二人で踊るものだということを、言葉だけでなくしっかりと心で理解して、お互いに、どうあれば目の前のパートナーに気持ち良く接することができるだろうかと考えることです。

もう少し具体的にご説明すると、お互いに相手の重心をいつも感じていること。感じようとすることが大切です。

私はレッスンをする時に、良く目を閉じたままレッスンすることがあります。そしてその状態で、生徒さんに、このステップは今は重心は右足でなくて左足です、とか、もっと背筋を伸ばして、とか、時には、頭が中央に寄ってきています、もっと左側に持っていってとか言うので、生徒さんは「目をつぶっているのに良く分かりますね」と不思議そうに言われます。

男性は女性と組んだ時には、ホールドを通して女性がいまどのような状態にあるのか、目をつぶっていても目に見えるようでなければ、女性をキチンとリードすることは出来ません。

難しいと言えば難しいかも知れませんが、先ずはそれくらいできなければいけないのだ、と強く思うことが大切です。

今日は男性ダンサーにとって厳しいお話になってしまいましたが、社交ダンスでは、男性は貴婦人を護り、エスコートする騎士たるお役目があることをしっかりと思い出して、素晴らしいリーダーになって欲しいと思います。

来週は、今度は女性の立場からのフォローのポイントについてお話します。

長くなりましたので、今日はこの辺で。


  


Posted by きのちゃん at 22:00Comments(7)ダンス上達のコツ